きょうだいの物語

年末年始に人気のコミックを読破しました。鬼となってしまった妹を救うために旅に出る男の子の話です。

最後まで読んでみて、きょうだいの物語なんだなーって思いました。主人公と妹だけではなく、兄と弟、兄と妹、姉と妹・・。いろんなきょうだいが出てきます。互いに影響を及ぼし、時には運命をともにする関係。良くも悪くも強い絆が興味深いです。

何人かの大人から「鬼が死ぬとき、どうして人間から鬼になったか明らかになるのが面白い」との感想を耳にしました。私もそこが面白いところだと思います。どの鬼も何らかのつらい体験があり、鬼に転落しています。読後の憎悪を憐憫に変える配慮なのかなと思いました。

でもね。つらい体験なら鬼だけではないんですよね。主人公は家族が凄惨な目に遭ってますし、仲間は幼少時に山に捨てられていたり、DVで瀕死の経験をしていたりします。それぞれきっかけや誘いがあれば鬼になってもおかしくはないくらいの苦難を経験しています。しかし鬼にはなりませんでした。

その違いは何でしょうね。少なくとも、悲しみや苦しみの量が大きければ人生転落するとは限らないということです。そこがまた人間の強さであり、人生の面白いところです。

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